話を聴いてもらうことで、心が癒される
昨日、NHKのドキュメンタリー番組で、
蒲田にある法律相談所と、
そこに訪れた人々が紹介されていました。
さまざまな問題を抱えた人々が、30分間、無料で、
専門の弁護士さんからアドバイスをいただくしくみのようです。
場所が法律相談所ですので、ご想像のとおり、
番組スタッフからの取材を拒否される方がほとんどでした。
まれにインタビューに応じられる方もあったのですが、
深刻な問題や厄介な出来事、理不尽な仕打ちなどが次々と出てきて、
見ていて、どんどん気分が重くなっていきました。
セクハラ、リストラ、強制退去、採用取り消し…
生活が脅かされる大変なことばかりで、胸が痛みます。
画面では、顔の表情も体の動きも沈鬱で、
困惑、落胆、絶望、怒りが滲み出ていました。
そんな中で、印象に残ったのは、
「話を聴いてもらえたことで、少しすっきりした」
という感想です。
相談を終えて、部屋から出てこられた何人かの方は、
「解決はしなかったけれど…」
「争って勝てる見込みはないとわかったけれど…」
と言いつつも、「全て打ち明けて、思っていることを全部言えて、
それは良かった」と答えておられました。
もしもこの言葉がなかったら、
出口の全く見えない暗闇ばかりという感じで
番組が終わっていたと思うのですが、
心からほっとしました。
誰かに自分の話を聴いてもらうということは、
日常、あまりにも普通のことですが、
いつでも、どんな内容でも、無条件に話を聴いてもらうことが
本当に出来るでしょうか?
言ってもわかってもらえない、
どうしても言いにくい、言葉には出来ないこともあるでしょう。
打ち明けた後の、相手との人間関係も気になるところです。
法律相談所を訪れた方の中には、さまざまな事情から、
誰にも相談することが出来ず、心理的に追い詰められ、
途方に暮れておられることが
リアルに伝わってくる方がありました。
相談をするビフォーアフターで、その方の様子には、
微妙な変化が見て取れました。
話をすると、心が外へ向きます。
そして、不思議なことに、思いを言葉にしていくことによって、
自分の気持ちや考えが、よりはっきりしてきます。
この外側への解放と内側への気付きが、同時に起こると共に、
聴き手から伝わってくる共感や、理解のまなざし、
肯定のうなづきなどがあるならば、さらに心が落ち着いて、
心のゆとりや明晰さを取り戻せるようになるでしょう。
話をすることは、ありふれているように思われながらも、
実はそうではないからこそ、昔も今も、
カウンセリングや傾聴が求められるのだと思います。
ただ受容的にお話を聴いてもらうだけで、
その方に元々具わっているリソース、たとえば思考力や判断力、
問題を解決に導く知識や経験力などが動き始めて、
ご自分の力で、一歩を踏み出せるようになります。
ご自分の内なる知恵や経験値、発想力などを発揮するには、
一人で悩み続け、頭の中でぐるぐると考え続けるのではなく、
人に話してみるということが、たいへん役立ちます。
失意や落胆の中で生じてしまっている思考の偏りや歪みが分かり、
見落としてしまっている視点や切り口にも気付けたら良いですね。
身近なところに、話を聴いてくれる相手や、
話をしても大丈夫と思える相手が見つからなかったら、
まずは「傾聴」セッションにお越しいただければと思います。
カウンセリングというと、心の不調や病のイメージがあるかもしれません。
けれども、ただお話をお聴きする傾聴でしたら、
気楽なお気持ちで、利用していただけると思います。
また、個人情報は明かさずに、お話したいことを自由に話せる
傾聴グループワークもあります。
インターネット上で行われ、
その都度参加メンバーが変わるオープンな集まりですので、
ご自分の映像を出さず、誰にも知られることなくご参加いただけます。
安全な場を作るために、批判やアドバイスをしない、
そこで聴いた話は絶対に外へ漏らさないなどの
幾つかのルールに沿って進めています。
傾聴にご興味のある方は、いつでもお気軽にお問い合わせ下さい。