TV番組の催眠術とヒプノセラピーの催眠状態との違い
テレビはほとんど見ないのですが、
夕べ、たまたまつけたところ「世界の果てまで…」という番組で
催眠術をしているところでした。
催眠術師の方が、タレントの出川さんと鈴木奈々さんに催眠をかけて、
絶叫マシーンを楽しめるようにしたり、
芋虫のようなものを美味しく食べさせたり…、
見ていて面白く、大笑いしてしまいました。
催眠術をかけられる前後のタレントさんの反応の違いが極端過ぎて、
その様子はまさに抱腹絶倒でした。
催眠術師の方は、気功を使って
速攻で催眠状態に入れる方法を取られているようです。
バラエティ番組としてはたいへん楽しいものだったのですが、
ヒプノセラピストとしては、少々心配なところもないわけではありません。
このようなエンターテインメントの催眠術は、
ヒプノセラピーで使う催眠とは、大きく異なるものであることを
皆さまには知っておいていただければと思います。
催眠の世界はさまざまあります。
セラピーの世界で用いる催眠状態もあれば、
催眠ショーのための催眠術もあります。
こうした気の力や念力を交えた催眠術を、
心のケアとしての心理療法において使うことは、
通常はありません。
まず催眠に誘導する方法が異なり、
催眠に入った後の催眠深度も異なっています。
けれども何よりも違っているのは、
ヒプノセラピーにおいては、
その方が望まない催眠暗示をかけることは絶対にないということです。
催眠状態では、心身がリラックスし、
受容性、受動性が増して、通常の意識の状態よりも
暗示を受け入れやすくなります。
そのためその方が望まない暗示やご本人にとって不利益となる暗示、
反社会的な暗示が入らないように、
ヒプノセラピストは細心の注意を払わなくてはなりません。
ヒプノセラピストが開業するに当たっては、
多くの団体で倫理規定が設けられているほどです。
個人セッションにおいても、事前カウンセリングの際、
その方が何を求め、何を目指しておられるのかよくお聴きしたうえで、
慎重に言葉を選び丁寧に誘導を心がける必要があります。
このテレビ番組の中でも行われていましたが、
セラピーとは異なる催眠の世界では、
速攻誘導の中に、被術者の体に触れながら行う手法があります。
オーソドックスなヒプノセラピー、多次元セラピーでは、
気功や念力などのエネルギーワークを併用することはなく、
お体に手を触れることもありません。
言葉のみによって誘導していきます。
こうしたエンターテインメントが、
催眠に興味を持たれる良いきっかけとなり、
ヒプノセラピーにおける催眠が正しくご理解いただけることを
願って止みません。
ヒプノセラピーの催眠状態や催眠暗示について、
気になることやご質問などがございましたら
どうぞお気軽にご連絡いただければと思います。