ヒプノセラピーは穏やかで安心できるセラピー?
ヒプノセラピーについて説明しようとする時、
「穏やかなセラピー」という表現をよく使います。
穏やかと聞いて、
「そんなことは全くなかった!」
と思われるヒプノセラピー経験者の方も
いらっしゃるかもしれません。
ヒプノセラピーのセッションでは、
日頃意識することのない潜在意識の領域にアクセスします。
そのため、ご本人にとっては思いも寄らない何かと
出会ってしまうことはたしかにあります。
特に、日常生活で無意識に抑圧している
怒り、憎しみ、寂しさなどの感情の生々しさに触れると、
心が波立ち、その激しさに驚かれて、
「穏やかなセラピーどころではない」と思われるはずです。
そういう意味では、
一概に穏やかとは言えないかもしれません。
ヒプノセラピーが穏やかであるとしたら、
その方が体験されているイメージ世界をそのまま尊重し、
それを越えた強引なワークを絶対にしないことによります。
たとえばイメージの中にお母さんが現れ、
厳しい態度で叱りつけてきたとします。
潜在意識は、今、その方に必要なイメージを知っていて、
それを見せてくれています。
お母さんのイメージは、ご本人が受け取ったものを
言葉でセラピストに伝えていただきますので、
もしも「これは言いたくない」と思われたならば、
言わずに黙っていることが出来ます。
本当はわめいたり怒鳴ったりしていたとしても、
「お母さんは怖い顔をしているけれど黙り込んでいます。」
と言うことも可能です。
それどころかお母さんが最初から登場しなかったように
することも出来ることになります。
本当はとても辛い過去のイメージが現れてきているにもかかわらず、
それを「体験するのは耐えられない」とその方が感じたならば、
イメージは自然に消えていってしまうこともあります。
あるいは直後にそのイメージを
全て忘れ去ってしまうこともあります。
それは傷つきやすい心を守るための自然な防衛反応です。
事前カウンセリングにおいて、お母さんではなく、
お父さんとの軋轢についてさまざまなお話をお聴きしていたとしても、
セラピー中、お父さんのイメージが現れないならば、
あえてその点には触れないということも起こり得ます。
その方がその瞬間、体験することをご自分に許可していることを越えて、
無理に特定のイメージへ誘導することはありません。
そうした意味では、おそらく代替療法の中でも、
きわめて穏やかで、安全なセラピーと言えるでしょう。
こうした特性により、ヒプノセラピーの個人セッションでは、
その方ご自身がどのくらい癒しと変容に意欲的であるかということが
ことのほか重要となってきます。
本気で心の深層と向かい合い、真実を知り、
よりよい方向へ変化していきたいと意図すればするほど、
意義深いイメージ世界を体験できますし、
深い癒しと解放がもたらされることになるでしょう。